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〜人にも自然にもやさしい宿づくりをめざすホテル〜

古里観光ホテル


『古里観光ホテル』さんは、こんな会社です!
    古里観光ホテルの玄関
鹿児島のシンボルである桜島で、昭和10年に湯治宿「みはらし荘」として創業。14年には「上村旅館」、38年には「古里観光ホテル」と名称を変更しながら、改築・増築して現在に至る。
現在の上村美智雄社長は3代目。
昭和60年に、露天風呂を改装し、「龍神露天風呂」と命名し、以来錦江湾(鹿児島湾)に面した海辺の露天風呂が全国的に有名となる。客室は42室、年間2万人以上が訪れている。


ー環境方針ー
 古里観光ホテルは、鹿児島県のシンボルである桜島に在り、錦江湾を目前に旅館業を営んでいます。
 弊社では『美しい錦江湾を子々孫々に』を合い言葉に環境配慮型ホテルをめざしています。
 私達は毎日の営業活動の中で、廃棄物や汚水の排出、水やエネルギーの消費など、地域環境や地球環境に重大な影響を及ぼす可能性を秘めています。
 私達は、これらのことを常に認識し、自然との“共生”をスローガンとして、環境保全の為に、環境管理システムを構築し、全社員一丸となって、以下のテーマについて、お客様と共に汚染の予防、システムの継続的改善に取り組みます。

1. 古里観光ホテルは、環境関連の法規制及び業界基準等を遵守します。
2. 古里観光ホテルは、事業活動を行う中で以下の項目を重点課題として取り組みます。

(1) 廃棄物の削減及びリサイクルの促進を行う。。
(2) 美しい錦江湾を取り戻すために汚水の抑制を行う。
(3) 省エネ、省資源化の促進を行う。
(4) 古里観光ホテルは、海岸を目前にした施設であるため、海への絶大なる環境配慮をした施設造りに努める。

3. 環境目的、環境目標及び環境マネジメントシステムプログラムを設定し、内部監査を行い、環境管理システムを見直し、その継続的改善を図る。

4. 環境教育、社内外への広報活動等を実施し、全社員の環境基本方針の理解と環境に関する意識向上を図るとともに、関係取引業者等へも環境基本方針を周知し、理解と協力を要請する。

   1999年10月25日

古里観光ホテル株式会社
代表取締役   上村美智雄

環境ISOに取り組んだ経緯
1999年5月に社長、常務共に「環境調和型経営の時代」というセミナーに参加。そこで地球環境がとても深刻な状況にあることを知り、このままではいけないと大変なショックを受けた。特に社長の幼少の頃に過ごした美しい錦江湾を取り戻したい、これ以上海を汚染してはいけないという気持ちで“美しい錦江湾を子々孫々に”を合い言葉に、6月にはISO14001の認証取得に取り組むことになった。まず勉強会を開催し社員全員で意識向上を図り、その後各部署の部門長を集め環境委員会を設置。毎週1回ミーティング、勉強会、実践を重ね、2001年1月に認証を取得した。  
認証取得日:2001年1月16日
認証範囲:旅館・ホテル業

主な取り組み <環境配慮の意識啓発>
お客様にも環境配慮の意識を持っていただけるように、「環境レポート」や「ふるさと通信」を発行しています。また環境標語の募集などの取り組みも行っています。
2007年度(45期)までの目的 2003年度(41期)下期目標
「環境レポート」第2号の発行、「ふるさと通信」の定期発行 ・ふるさと通信の第2号の発行
・HPを使っての環境啓発活動を行う
環境に配慮しホテルをめざし、施設のリニューアルを進める。 大浴場(内湯)の男湯・女湯ともにリニューアルを完成させる
客室の備品をグリーン購入し、環境配慮品に50%切り替えていく。 シャンプー、リンスを環境配慮製品に切り替える
売上高対電気代を40期を基準に10%削減する 売上高対電気代を40期を基準に2%削減する
廃棄物発生量を40期を基準に30%削減する ・調理くず・残飯を40期より10%削減
・生ゴミ処理機の導入
汚水抑制のため合併浄化槽の設置。 清掃などメンテナンス手順の完全励行

インタビュー 上村秀智郎常務にお話を聞きました。
Q: 環境ISOに取り組んで苦労されたことはありますか?
A: 慣れない文書の作成や、各部署毎に一日の業務の流れを追いながら一つ一つの作業の拾い出し、確認などを進めていく作業が大変でした。でもそれによって、無駄をしているところや省いても良いものがわかりました。
またISO取得準備を進めているときに、ある外部の方から「これが環境配慮の施設?」と指摘され恥ずかしい思いをしたことがありました。今考えればいろんなことに無頓着で、特に裏方の整備が遅れていたように思います。でもおかげで、それ以降は少々の費用は惜しまずに、整理整頓の徹底や環境美化に社員一丸となって取り組むようになりました。 
Q: 取得して変わったことは何ですか?
A: 全社員の意識が向上したことが一番変わった点だと思います。今までは社長の意志が絶対的なところがあったのですが、ISOに関わって構築していく中で、全社員が経営にも責任を持つような意気込みが出てきたように思います。たとえば「自分たちでこの会社を盛り上げていくんだ」、「新たにふるさとの歴史を自分たちで創っていくんだ」という、積極的意識の向上を肌で感じました。
そして認証取得する準備段階からも新聞やテレビなどマスコミで多く取り上げていただいて非常に光栄に思いました。その反響が大きかった分、環境配慮のホテルということで足を運んで下さったお客様をがっかりさせないようにと取得後も、意識の向上につとめ常に勉強や実践を続けていかなければ、と責任感のようなものも感じるようになりました。私たちはお客様から教わることが非常に多いですからね。
Q: 今後の展開は、どのようにお考えですか?
A:
衣・食・住が存在する我々旅館・ホテル業界。1月28日に九州・沖縄ブロック大会が当館で開催されます。九州はもちろん、全国各地から若き経営者が集まります。今回のこの大会は、人にやさしい環境にやさしい宿をテーマに我々旅館業界に出来ることを集い語らい考える大会です。1施設の取り組みは点でしかありませんが、これが県単位、九州単位、つまり線や面になったらどうでしょう?業界に対するお客様のイメージが変わり、産業界に大きな1石を投じるに違いありません。出来ることから、やれる範囲で少しずつ取り組んでいけば、地球環境に対する負荷を軽減することになると思います。
 今や地球環境を表す数値は年々悪化の傾向をたどる一方です。我々が幼い頃過ごした、海や山を未来の子供達に残せるのでしょうか?業界人の前に我々は、人であり、また、親でもあります。子供達のために美しい地球・自然環境を残すことは使命です。
 この大自然の中に守られ、人間は生かされて生きています。万物に感謝の念をわすれることなく、人にも自然にもやさしい宿づくりをめざいしていきたいと思っています。
 
ホテル内を見学しました
 玄関ホールからロビーに進んでいくと、中央左奥に壁一面に掲げられている環境方針と、5つに分別された大きなゴミ箱が目に入ってきました。環境方針は英文まで書かれていたので、さすが外国のお客様も多く訪れる国際旅館だという印象を得ました。そして、お客様にもアピールするように置かれたゴミ箱は、環境の啓発活動や廃棄物の分別・削減に熱心に取り組んでいる一端を見るようでした。
 トイレの照明は感知式ライトを使用。つけっぱなしがないように工夫されています。ロビーの照明や温度管理、また客室のエアコンの温度管理もお客様の状況に応じて細かく設定し、省エネを心がけているそうです。
 調理場内では、館内のいけすからオーバーフローした海水を側溝に流して雑菌繁殖と悪臭防止に使っていました。
 最近ゴミ処理機を導入したそうですが、それに頼り過ぎることなく、環境配慮に取り組み始めた4年以上前と変わることなく、ゴミの計量、削減の工夫を常に心がけていらっしゃるそうです。
 これからも、お客様から見えるところ、見えないところ両面から環境配慮の取り組みを進めていくとのことで、今後も楽しみなホテルでした。

ロビー横に置かれた分別用ゴミ箱

お客様、社員さんたちが作った環境標語を短冊に書いて掲示


古里観光ホテルさんの、ここがスゴイ!
お客様に気持ちよく過ごしてもらいながらも、裏方ではゴミの分別や掃除の仕方など自然環境を守るために社員の方たちが一丸となって取り組んでいるところ!
取材後記:古里観光ホテルさんでは、鹿児島市のゴミ分別が11分別になる前からリサイクル推進のために細かく分類されていたそうです。お客様がごちゃ混ぜで捨てていかれたゴミも丁寧に分けたり、段ボールなどの古紙は自分たちで軽トラックに積んでフェリーに乗り古紙業者まで運んだり。生ゴミの削減という点でも、調理部の方たちが、お客様にも喜んでいただきながら食べ残しもなくなるように調理の工夫やメニューの見直しを繰り返したそうです。
また、海に面しているために排水にも非常に気を付けていて、客室や館内の至るところの掃除まで電解水を使用し、「汗を流しても化学物質は流さない」という姿勢で、最近はほとんど住宅用の洗剤は使わなくなったとのことでした。
 ホテルを利用する側としては、施設の豪華な造りや過剰なサービスの方に目が行きがちです。でも裏方で自然環境を守るためにがんばってくださっている方たちがいらっしゃることを知り、頼もしく思いました。そして私は家では省エネや節水、食べ残しに気を付けているのに、ホテルに泊まればいつもはしないような無駄なことをしたり、必要以上に贅沢なサービスを求めてしまう姿勢を考え直したいなぁと思いました。
(2003年12月14日取材)



古里観光株式会社
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